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講演資料

2008年10月17日
 
市民法律講座「相続と遺言の法律問題」資料
 
弁護士 駒 田 英 隆
 

第1 遺言について

事例 

遺言書蔵(いごんかくぞう)は、ある日、長女・相続する子、長男・相続した蔵、二女・相続ないよに、その財産を相続させるため、遺言を書こうと思ったが、ここでふと疑問。
さて、遺言とは、そもそもどのようにして書けばいいのか?
 

1 自筆証書遺言(民法968条1項)

   

2 公正証書遺言(民法969条)

 

3 秘密証書遺言(民法970条)

 

4 3つの遺言の長短

 
(1)自筆証書遺言  長所  手続が簡易。費用が掛からない。
               短所  偽造・変造・隠匿の恐れ。方式に不備。検認が必要。
 
(2)公正証書遺言  長所  方式は具備。公証人役場で保管されるので、偽造・変造・隠匿の恐れがない。
                短所  費用が掛かる。手続が煩雑。
 
(3)秘密証書遺言  長所  秘密が守れる。
                短所  方式に不備。費用が掛かる。手続が煩雑。検認が必要。
 

5 特別方式の遺言

先ほど説明した遺言が作成出来ないほど、切迫した状況など特別な事由がある場合に遺言を作成する方式。
そのため、特別な事由が解消され、普通の方式によって、遺言が作成出来るようになったときから6ヶ月間生存したときは、その効力はなくなる(民法983条)。
 
(1)死亡危急者遺言(民法976条)
 
(2)船舶遭難者遺言(民法979条)
 
(3)伝染病隔離者遺言(民法977条)
 
(4)在船者遺言(民法978条)
 
~~休憩~~
 

第2 相続について

事例
遺言書蔵が亡くなった後、その遺産を相続しようと思った相続する子だったが、具体的にどのような手続をすればいいのだろうか? 
 

1 遺言書の確認

 

2 遺言書がなかったとしたら。。。

(1)誰が相続人かを確認すること。
そのためには、遺言書蔵が生まれた時から亡くなった時までの、戸籍謄本を集め、相続人を確認することが必要。
 
①(相続人順位)第1順位  直系卑属
            第2順位  直系尊属
            第3順位  兄弟姉妹
なお、配偶者は常に相続人になる。
(以上 民法886条~890条)
では、内縁の夫や妻は、相続人となるのか?
 
②(相続分割合)
直系卑属及び配偶者が相続人の場合は、
                        各2分の1
 
直系尊属及び配偶者が相続人の場合は、
                        直系尊属が3分の1
                        配偶者が3分の2
 
兄弟姉妹及び配偶者が相続人の場合は、
                        兄弟姉妹が4分の1
                        配偶者が4分の3
直系卑属のみ、直系尊属のみ、兄弟姉妹のみの場合
                         その相続分は相等しい
但し、非嫡出子がある場合は、
                        その非嫡出子は、嫡出子の2分の1
父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹がいる場合は、
                        その兄弟姉妹は、父母双方を同じくする兄弟姉妹の2分の1
                        (以上 民法900条)
 
③(代襲相続)
被相続人の子が、相続開始以前に死亡したときなどは、被相続人の子の子が相続人となる(887条2項)。
被相続人の子とその子の子が、相続開始以前に死亡したときなどは、被相続人の子の子の子が相続人となる(887条3項)。
以下の子についても同様(887条3項)。
 
被相続人の兄弟姉妹が、相続開始以前に死亡したときなどは、被相続人の兄弟姉妹の子が相続人となる(889条2項)。
但し、被相続人の兄弟姉妹とその兄弟姉妹の子が、相続開始以前に死亡したときなどは、その兄弟姉妹の子の子は相続人とはならない(887条2項)。
 
④ ここで問題!
 
(2)相続財産の調査
 ① 自宅を捜索
 ② 市役所で名寄せを行う。但し、これによって判明するのは不動産のみ。
 ③ 近所の銀行等に尋ねる。但し、凍結される恐れがある。
 
(3)相続放棄(民法915条)、限定承認(民法922条)
   相続開始を知ったときから3ヶ月以内に、相続するか、相続放棄するか、限定承認するかを決定しなければいけない。
   なお、相続放棄と限定承認については、家庭裁判所への申述が必要。
 
(4)被相続人の準確定申告を4ヶ月以内に行う。
 
(5)相続人間で、遺産の分配方法を話し合う。
① 合意できれば、遺産分割協議書を作成。
② 合意できなければ、遺産分割調停などを家庭裁判所に申し込み。
 
(6)相続税の申告を被相続人が死亡した翌日から10ヶ月以内に行う。
   なお、現時点で、5000万円+法定相続人の数×1000万円未満は相続税の申告・納税は不要。
 

3 でも、相続する子には、遺言書蔵が残した遺言書がある

(1)遺言書に基づいて相続手続を行えば良い。
遺産分割協議や財産調査などをせずに済み。とても簡易。
 
(2)遺留分減殺請求
① 遺留分とは、遺族の法定相続人の権利・生活を守るため、遺族が相続できる最低限度を定めたもの。
具体的には、
直系卑属及び配偶者は、その法定相続分の2分の1
直系尊属は、その法定相続分の3分の1
兄弟姉妹は、なし。
 
② 遺留分減殺請求権の行使方法(民法1042条)
相続開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知ったときから、1年以内、相続開始後10年以内に行わないと時効になる。
そこで、一般的には、証拠を残すため、遺留分減殺請求権の行使は、配達証明付き内容証明郵便で行う。
その後、遺留分減殺請求権を一度行使すると、その話し合いが、1年以内に終わらなくても時効にはならない。
話し合いで解決できないと、調停等の手続を取らざるを得なくなる。
 

第3 まとめ

いざというときに家族が困らないために、遺留分も考慮した公正証書遺言を書いておくことが良いのではないだろうか。
その際、付言しておくのも良い。
以 上
 
 
資料1 自筆遺言例
 
1 私、遺言書蔵は、その遺産のうち、私が住んでいる家と土地を、相続する子に、私の家の斜め向かいの家と土地を、相続した蔵に、相続させる。
   
2 私、遺言書蔵は、字がお世辞にも綺麗とは言えないので、パソコンで遺言を書いたけど、みんな守ってね。
   
 
平成20年10月
   遺 言 書 蔵
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